2月と8月はちょっと憂鬱? 貿易業界の繁忙期


梅雨明けと夏休みが待ち遠しい今日この頃。夏休みの計画を具体的に立てている方もいるかと思います。
社会人は、繁忙期閑散期を見すえて休みを取り、そのためになんとか仕事を調整してバケーションを満喫!したいところです。

 
さてさて、貿易の業界では、どうなんでしょうか? 貿易取引特有の繁忙期など、あるのでしょうか。
 
基本的には、暦通りのお休みというケースが多いのですが、怒涛の忙しさがやってくるのは皆さん連休明けだと言います。
 
土日・連休には通関手続きをはじめ、日本全国、物流の関係機関は一旦ストップします。ですがもちろん、日本の連休などお構いなしに、世界ではジャンジャン貿易取引が行われ、貨物が動いています。
 
となると、その間にたまる貨物 = 書類、メールの数々…!業界で働く人たちは「お休みは嬉しいけれど、連休明け、たまった書類のことを考えると会社に来るのがちょっとユウウツ…」と言います(苦笑)。



休み明け出社したら、休みボケなどしている間もなく、普段バリバリさばいている倍速のペースで仕事を片付けていかなければなりません。

 
これは夏休みやお盆の時期だけではなく、ゴールデンウィークや年末年始も同じことが言えますね。
また、他の業界と違うところだと、2月でしょう。それはなぜか?

 
2月は、中国の旧正月があります。旧正月とは、日本で言えばお正月にあたるバケーションで、中国ではお店や会社も休みになります。今や日本における貿易取引のカナメの中国、旧正月前後はバタバタすると言います。
 
お休み前の怒涛の出荷ラッシュが続き、中国ビジネスもお休みになる旧正月中は、ほっと一息ついたかと思えば、またやってくる休み明けの通常稼働。休みの反動で量は多めです。
 
このように、私たちのお休みに関わらず、世界の各地でいまも絶えず貨物や書類が動き続けている。
その向こうにそれを動かす人がいるんですね。

そんな世の中の動きとぴったりとリンクして、正確に書類を捌き、世界の物流を担うお仕事。その現場に身を置ける面白さは、一度経験するとハマってしまうのかもしれません。


f:id:kikurinlogi:20150716193411j:plain

 
 

“見ると入るは大違い! 深くてひろ~いコンテナの世界”

私は自宅から最寄駅まで、環七の6車線ある車道の横を毎日歩いて通っているのですが、色とりどりのコンテナを載せたトレーラーが、朝から晩までビュンビュン走っています。


コンテナ(Container)とは何か? 船会社のロゴが入った、スチールやアルミでできた大きな箱?
いえいえ、ただの箱ではありません。コンテナの中には、送る人と受け取る人をつなぎ、それぞれの想いがたっぷりと詰め込まれているのです。

f:id:kikurinlogi:20150715014042j:plain

コンテナには20フィートと40フィートの2種類ある。これは20フィートのサイズ





フォワーダーで働いていた男性の大先輩からこんなエピソードを聴きました。クリスマス前、某百貨店さんに卸す予定だったジグソーパズルがありました。お店の店頭に見本として2点、置く必要があったのですが、船の到着が予定よりもかなり遅れ、かつコンテナヤードの中で思いがけず時間がかかり、ジグソーパズルを積んだトレーラーがなかなか出てこれませんでした。


そこで、その先輩は、「まず、ジグソーパズルを2点だけでも取りに行きます!」と言って、同僚とともにコンテナヤードに向かいました。そして40フィートコンテナにギッチリと詰め込まれた、恐らく2,000箱近くあったジグソーパズルの山から、たった2つを掘り出す作業を始めたのでした。


コンテナの中に入ってみると、とにかく大きくて深く感じ、それは気の遠くなる作業だったと言います。一点一点確認して、やっと見つけたお目当ての2点を抜き取ってお店に走り届け、事なきを得ることができたとのことでした。

f:id:kikurinlogi:20150715014137j:plain

こちらは40フィート、やはり大きい


このように、外からコンテナの中身を見ることはできないけれど、その中には、送る人・受け取る人、それを待っている人のさまざまな想いが込められた商品が積み込まれているんですね。私が毎日通勤の道すがらに見るコンテナも、それぞれのストーリーがあるのだと思うと、いつもの道もちょっとだけ、違って見える気がします。


f:id:kikurinlogi:20150715014356j:plain
ヤードから運び出され、目的地に向かうコンテナ。 それぞれにストーリーがあります。